擦枯・摩枯(読み)すれからし

精選版 日本国語大辞典 「擦枯・摩枯」の意味・読み・例文・類語

すれ‐からし【擦枯・摩枯】

〘名〙 (「すれがらし」とも)
① きびしい世間で苦労して悪賢くなること。また、その人。あばずれ。すれっからし。すりからし。すれもの。
洒落本・くたまき綱目(1761)「すれがらしなるけつの指髪を切るに油断せず」
良人自白(1904‐06)〈木下尚江〉前「摺れ枯らしの売淫婦(ぢごく)情深かい母親となった」
② いろいろなめにあって、貯えがつきること。また、その人。すりからし。

すれ‐から・す【擦枯・摩枯】

〘自サ五(四)〙
① 世間で苦労して悪賢くなり、純真さをすっかり失う。
病牀六尺(1902)〈正岡子規〉一三「斯る料理屋などにすれからしたとも見えぬ程のおとなしさが甚だ人をゆかしがらせて」
② 貯えが尽きる。食いつめる。
※洒落本・玉之帳(1789‐1801頃)「嗚呼(ああ)檜木舞台をふんで、すれからしたる身の果(はて)に、此段を悟るべしと云云」

すれっ‐からし【擦枯・摩枯】

〘名〙 「すれからし(擦枯)」の変化した語。
人情本・春色恵の花(1836)二「田舎歩きの食はせもの、すれッからしの旅かせぎ」

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