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自白 じはくconfession; Geständnis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

自白
じはく
confession; Geständnis

(1) 民事訴訟では,相手方の主張する,自己に不利益な事実を告白し承認すること。裁判上の自白と裁判外の自白があり,訴訟法上問題となるのは前者である。自白の対象となるのは具体的事実にかぎられ,権利,法律上の意見,経験則については,自白は成立しない。自白が成立すると,当該事実については証明の必要がなくなる。ただし,間接事実,補助事実については,この効果が認められない。自白の特殊な形態として,擬制自白 (民事訴訟法) ,制限付き自白がある。 (2) 刑事訴訟法では,自己の犯罪事実の全部または一部を認める犯人の供述をいう。強制,拷問,脅迫による自白,不当に長い抑留または拘禁後の自白 (憲法 38条2項) ,その他任意にされたものでない疑いのある自白は証拠とすることができず,自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合は有罪とされない (憲法 38条3項および刑事訴訟法) 。

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デジタル大辞泉の解説

じ‐はく【自白】

[名](スル)
自分の秘密や犯した罪などを包み隠さずに言うこと。「カンニングを自白する」

民事訴訟法上、当事者が相手方の主張する自己に不利な事実を認めること。また、その旨の陳述
刑事訴訟法上、自己の犯罪事実を認める被疑者被告人供述

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百科事典マイペディアの解説

自白【じはく】

(1)民事訴訟では,相手方の主張する自己に不利益な事実を認める陳述をいうが,相手方主張の事実を明らかに争わぬときにも,自白の成立が認められる(擬制自白)。自白が成立すると,裁判所は,その事実を判決の基礎にしなければならない(新民事訴訟法179条)。
→関連項目アレインメント自首代用監獄ミランダ・ルール黙秘権

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世界大百科事典 第2版の解説

じはく【自白】


[民事訴訟法上の自白]
 民事訴訟では,自己に不利な事実が真実であるとの陳述を自白と呼ぶ。訴訟前または訴訟外で相手方または第三者に対してする裁判外の自白と,口頭弁論または準備手続でなす裁判上の自白(以下,単に自白と呼ぶ)とがある。前者は自白された事実が真実であることの徴憑(ちようひよう)である。民事訴訟においてとくに重要なのは後者である。通常の民事訴訟では弁論主義が行われ,当事者間で争いのない事実は証拠調べを行わず,裁判の基礎としなければならない(民事訴訟法179条)。

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大辞林 第三版の解説

じはく【自白】

( 名 ) スル
罪や秘密などを自ら白状すること。 「悪びれずに-する」
〘法〙 刑事訴訟法上、被疑者・被告人による自己の犯罪事実を容認する供述。現行憲法は、強制に基づく自白の証拠能力を認めず、また自白のみでは有罪とならない旨を規定する。 〔類義の語に「白状」があるが、「白状」は罪や隠し事などを述べる意を表す。それに対して「自白」は「白状」と同じ意味でも用いるが、主として法律用語として用い、容疑者が罪を自ら述べる意を表す〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

自白
じはく

刑事訴訟法上は、自己の犯罪事実の全部またはその主要部分を認める旨の被疑者・被告人の供述をいう。民事訴訟法上は、訴訟の当事者が、相手方の主張する自己に不利益な事実を認める陳述をいう。[内田一郎]

刑事訴訟における自白

1873年(明治6)6月の改定律例第318条は、「凡(およそ)罪ヲ断スルハ、口供結案ニ依(よ)ル」として自白必要主義をとっていたが、1876年6月の太政官(だじょうかん)布告第86号は、これを撤廃して、「凡ソ罪ヲ断スルハ証ニ依ル」とし、証拠裁判主義を採用した。自白の証拠能力について、憲法第38条第2項は、強制、拷問もしくは脅迫による自白または不当に長く抑留もしくは拘禁されたのちの自白は、これを証拠とすることができないとし、刑事訴訟法第319条第1項は、強制、拷問または脅迫による自白、不当に長く抑留または拘禁されたのちの自白、その他任意にされたものでない疑いのある自白は、これを証拠とすることができないとしている。起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合もこれに含まれる(同法319条3項)。判例は、自白をすれば起訴猶予にする旨の検察官のことばを信じ、起訴猶予になることを期待してした自白は、任意性に疑いがあるものとして、証拠能力がないとしている(最高裁判所昭和41年7月1日第二小法廷判決)。捜査官の偽計によって被疑者が心理的強制を受け、その結果虚偽の自白が誘発されるおそれのある場合には、前記の自白はその任意性に疑いがあるものとして、証拠能力を否定すべきであり、このような自白を証拠に採用することは、刑事訴訟法第319条第1項の規定に違反し、ひいては憲法第38条第2項にも違反するとしている(最高裁判所昭和45年11月25日大法廷判決)。また自白の証拠価値(証明力)について、憲法第38条第3項は、何人(なんぴと)も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされず、また刑罰を科せられないとしている。刑事訴訟法第319条第2項は、被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされないとしている。学説上、いわゆる共犯者の自白に補強証拠を必要とするか否か争われている。共同審理を受けていない単なる共犯者はもちろん、共同審理を受けている共犯者(共同被告人)であっても、被告人本人との関係においては、被告人以外の被害者その他の純然たる証人とその本質を異にするものではない。したがって判例は、共犯者または共同被告人の犯罪事実に関する供述は、憲法第38条第2項のごとき証拠能力を有しないものでない限り、自由心証に任さるべき独立、完全な証明力を有するとしている(最高裁判所昭和33年5月28日大法廷判決)。[内田一郎]

民事訴訟における自白

訴訟の当事者が、相手方の主張する自己に不利益な事実を認める陳述をいう。ここでいう不利益とは、その事実が確定すると訴訟の全部または一部が敗訴になる可能性の生ずる場合のことである。自白は、まず相手方が事実を主張し、のちにその事実を認めるのが通常であるが、これとは逆に、自分から不利益な事実を述べて、あとから相手方がそれを援用する場合もある。これを「先行自白」という。裁判外で相手方や第三者に対してなされるものを「裁判外の自白」といい、訴訟上裁判官の面前でなされるものを「裁判上の自白」といって両者は区別されている。裁判外の自白は、訴訟において相手方が援用しても単なる徴憑(ちょうひょう)(事実を証明すべき材料である間接の事実)としての意味しかもたないのに対し、裁判上の自白は、弁論主義のもとでは証明を不要とし(民事訴訟法179条)、その事実について裁判所の認定権は排除される。また自白した当事者も、これに拘束されて爾後(じご)原則としてこれに反する主張ができなくなる。なぜならば、裁判上の自白はそれをした当事者が自分の責任で陳述したものであるし、またその事実はそのまま判決の基礎とされるから、自白の取消しは簡単には認められない。しかし取消しを絶対に許さないとすると、間違って自白した当事者には酷になる。そこで判例・通説は、相手方が取消しに同意した場合や、自白の内容が真実に反し、かつ錯誤に基づいたことについて証明があった場合には、自白の取消しが認められる、としている。自白の効力は、上訴があれば、上級審にも及ぶ。
 なお、口頭弁論または準備手続において、当事者が相手方の主張の事実を明らかに争わないときは、自白したとみなされ(擬制自白)、証拠調べは不要とされる。[内田武吉・加藤哲夫]

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世界大百科事典内の自白の言及

【違法収集証拠】より

…従来,おもに刑事訴訟との関係で,その証拠能力が問題とされてきた。狭義には,とくに違法な捜索・押収等の結果得られた証拠物を指すが,広義には,このほか違法な被疑者の身柄拘束や取調べの結果獲得された自白,違法な盗聴により録取された人の会話などをも含む一般的概念として用いられる。 証拠物の場合,その収集手続に違法があっても,証拠それ自体の内容や性質に変化をきたすわけではないから,刑事訴訟における真実の究明,すなわち犯人の確実な処罰という観点からは,そのような証拠も有用であることは間違いない。…

【吟味筋】より

…町奉行所では吟味方与力が白洲とは別の場所で取り調べた。審理は被疑者の自白(白状)を得ることを目的とし,その犯罪事実は役人が書式に従って口書(くちがき)に録取した。口書ができると奉行は法廷に出座し,事件(一件)の関係者一同を集め,役人が口書を読み聞かせて(口書読聞(くちがきよみきけ))押印させ,あるいはすでに押印させた口書を確認させた(口書口合(くちがきくちあわせ))。…

【拷問】より

…このような手段は古来,多くの権力や,非権力的主体によって行われてきた。現代民主主義国家においては統治手段としてのテロルの行使は禁じられており,日本国憲法も公務員による拷問を禁じ,またその結果得られた自白には証拠能力がないと定めている。しかし政治暴力の一形態としての拷問は,統治手段としてテロルの行使が一般化している国々,とりわけ全体主義国家や権威主義体制のもとにおいては今日でも広くみられる。…

【誤判】より

…専門的な事項について鑑定がなされることもある。証拠はすべて許容されるわけではなく,強制等による不任意の自白は証拠能力がないし,伝聞証拠も原則として許容されない。また,自白だけで被告人を有罪とすることはできず,他の証拠により自白を補強しなければならない。…

【裁判】より

…これら法曹吏員の最高の地位が1名の評定所留役勘定組頭であるが職制上その地位は比較的低かった。奉行代官は裁判の責任者として,その始終を承認するだけで,法廷には原則として冒頭手続,自白調書の確定,判決申渡に出席した。裁判は判例法主義で法曹吏員はこれに固執し,将軍,老中,奉行等が政務の立場からこれを動かすことはほとんどなかったから,ある程度の司法の安定が見られた。…

【自由心証主義】より

…しかし社会の近代化に伴い,複雑化した社会生活の現実を形式的な判断法則によりとらえることは,かえって真実の発見を妨げることが意識されるようになった。またとくに刑事手続において,法定証拠主義は被告人の自白を有罪認定の条件とするものであったため,必然的に自白を得るための拷問の制度と結びつき,その弊害には著しいものがあった。こうしてフランス革命において法定証拠主義は排斥され,フランス訴訟法に自由心証主義が採用されて以来,これが近代的な訴訟法の基本原則の一つとして諸国の立法に導入され,日本でも民事訴訟法,刑事訴訟法の双方に自由心証主義を宣言する明文の規定がおかれている(民事訴訟法247条,刑事訴訟法318条)。…

※「自白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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