擬く(読み)モドク

デジタル大辞泉 「擬く」の意味・読み・例文・類語

もど・く【擬く/抵牾く/牴牾く】

[動カ五(四)]
さからって非難する。また、従わないでそむく。
「御頼みとあれば―・きませぬが」〈露伴・寝耳鉄砲〉
「をさをさ人の上―・き給はぬ大臣の」〈常夏
他のものに似せて作る。また、他と同じように振る舞う。まねる。
「この七歳なる子、父を―・きて、高麗人こまうどと文を作りかはしければ」〈宇津保・俊蔭〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「擬く」の意味・読み・例文・類語

もど・く【擬・抵牾・牴牾】

  1. 〘 他動詞 カ行四段活用 〙
  2. 他と対抗して張り合って事を行なう。他のものに似せて作ったり、振舞ったりする。まがえる。
    1. [初出の実例]「此七歳(ななとせ)なる子、父をもどきて、高麗人(こまうど)と文をつくりかはしければ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. さからって非難または批評する。また、そむく。反対して従わない態度を見せる。さからう。
    1. [初出の実例]「をさをさ、人の上もどき給はぬおとどの、このわたりのことは、耳とどめてぞ、おとしめ給ふや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
    2. 「男のこと葉をもどくからは暇をとらす程に」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)四)

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