故無い(読み)ユエナイ

デジタル大辞泉 「故無い」の意味・読み・例文・類語

ゆえ‐な・い〔ゆゑ‐〕【故無い】

[形][文]ゆゑな・し[ク]
何の理由もない。いわれがない。「―・い寂しさ」「―・くして咎めを受ける」
風情がない。趣がない。
大納言はむげに―・くは詠み給はじ」〈今昔・二四・三二〉
縁がない。ゆかりがない。
「―・き人の恵みをうけて」〈読・雨月浅茅が宿〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「故無い」の意味・読み・例文・類語

ゆえ‐な・いゆゑ‥【故無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]ゆゑな・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 理由がない。根拠がない。わけがない。いわれがない。
    1. [初出の実例]「冷泉院の后は、ゆへなくてあながちにかくしおきたまへる御心をおぼすに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  3. 趣がない。風情がない。あじわいがない。つまらない。
    1. [初出の実例]「はかなくしいでたる事、わざもゆへなからずみえたらん、かたかどにても、いかが思ひのほかにをかしからざらん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  4. 縁もゆかりもない。
    1. [初出の実例]「其上故なき女に心をかけ、命をすつる事ふかくのいたりと思ふなり」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)下)
  5. さしさわりがない。障害がない。無事である。
    1. [初出の実例]「小さんはゆゑなく、産後すらすら肥立ものから」(出典:人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)後)

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