六訂版 家庭医学大全科 「数・大きさの異常」の解説
数・大きさの異常
かず・おおきさのいじょう
Anomalies in number and size
(子どもの病気)
①
両側の腎臓が完全にない状態です。胎児期に尿の生成がないことから高度の羊水過少症を伴い、特有な顔つきや四肢の奇形、肺の発育不全などを生じます。
ほぼ全例が、出生後呼吸不全で亡くなります。
②
片側の腎臓のみが完全にない状態です。反対側の腎臓が正常ならば、通常、症状が出ることはなく、一般的に治療や日常生活の制限は必要ありません。女性の場合は、比較的高率に子宮や腟といった生殖器の奇形を合併します。
③
3個以上の独立した腎臓があるもので、極めてまれです。
④
先天性の発育不良の腎臓で、正常な腎臓に比べてサイズが小さくなります。ネフロン(コラム)の数も少ないのですが、構造は正常で、腎臓の機能はある程度備わっています。
両側の低形成腎の場合は、程度により腎不全に至ることがありますので、定期的な受診が必要です。根本的な治療法はありませんが、降圧薬に分類されるアンジオテンシン受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬の内服が、腎不全の進行を遅らせる可能性が報告されています。
一方、片側のみの低形成腎の場合は、反対側の腎臓が代償性に大きくなり、とくに症状が出ることはありません。成長後に、偶然発見されることもありますが、とくに治療は必要となりません。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報