家庭医学館 「羊水過少」の解説
ようすいかしょう【羊水過少 0ligohydramnios】
羊水が異常に少ない場合を、羊水過少といいます。正確な羊水の量の定義はありませんが、一般的には100mℓ以下を、羊水過少としています。
子宮底長(しきゅうていちょう)(恥骨結合上縁(ちこつけつごうじょうえん)から子宮底部までの長さ)が妊娠月日に比べて小さかったり、おなかの上から胎児(たいじ)部分を非常にはっきりと触れるような場合は、羊水過少を疑います。羊水過多(「羊水過多」)と同様に、超音波検査で羊水の量を測定します。
[原因]
原因として胎児腎(じん)形態異常、子宮内胎児発育遅延、前期破水(ぜんきはすい)、過期妊娠などが考えられますが、原因のはっきりしない場合もあります。羊水過少が妊娠早期に発生すると、羊膜(ようまく)の一部が胎児に癒着(ゆちゃく)し、胎児の皮膚や指に異常をきたすことがあります。また、羊水量が少ないために、子宮壁や臍帯(さいたい)による子宮内での胎児圧迫が続くと、圧迫による胎児の異常や胎児仮死をおこすことがあります。
[治療]
妊娠中は、胎児の状態や羊水の量をよく観察しなくてはいけません。胎児の状態により、早急に分娩(ぶんべん)させる必要がある場合があります。羊水の量が少ないことによる臍帯圧迫のための胎児仮死を予防するために、生理食塩水を子宮内に注入するなどの方法なども検討されています。