文禰麻呂墓(読み)ふみのねまろのはか

国指定史跡ガイド 「文禰麻呂墓」の解説

ふみのねまろのはか【文禰麻呂墓】


奈良県宇陀(うだ)市榛原区八滝にある文禰麻呂の墓。宇陀盆地東方の伊那佐山(標高638m)から派生した尾根の緩やかな南向き斜面に立地する。文禰麻呂は『日本書紀』や『続日本紀』にも登場する人物で、壬申(じんしん)の乱では、大海人皇子(天武天皇)の軍で活躍した将軍の一人。1831年(天保2)に墓誌、銅箱、ガラス製骨蔵器、金銅壺が発見され、ここが文禰麻呂の墓であることが判明。1982年(昭和57)に発掘調査が行われた結果、盛塚の東方3mの箇所で堅炭が入った土坑と被覆粘土層が確認された。土坑は東西2.5m、南北2.0m以上の隅丸方形で4辺をほぼ方位に一致させて設けられていた。土坑内には厚さ4~5cmの粘土と砂質土を敷き、上に拳大の堅炭を並べ、骨蔵器、墓誌を安置する基台部を設け、安置後は粘土、粘質土で覆ったものとみられている。この墓は、奈良時代の代表的な墳墓であり、古代の上級官人の埋葬方法が明らかになった数少ない重要な遺跡であるとし、1984年(昭和59)に国の史跡に指定された。近畿日本鉄道大阪線榛原駅から奈良交通バス「八滝」下車、徒歩約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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