新世界秩序(読み)しんせかいちつじょ(英語表記)New World Order

知恵蔵 「新世界秩序」の解説

新世界秩序

主権国家の枠を超えた世界共通の価値目標と制度とを形成しようとする構想とその実現の過程。多義的な概念で、歴史的には世界大戦という秩序崩壊に対し、そこから超え出ることを目的とした戦後構想を指し、その一部は国際連盟、国際連合などに結実。冷戦終結後にはブッシュ米大統領(当時)が湾岸危機のさなかに「米国主導の世界秩序」の意味で用いた。一般に「世界秩序」とは、現存する世界の力の分布の総体を指すか、あるいは次のような未来志向の規範的内容を持つことが多い。(1)地球的問題群に取り組むために制度を創出し、国家中心主義を超えた世界大の協力体制を作る。(2)軍事主権を制約した共通の安全保障を制度化する。(3)飢餓貧困に対し、世界経済制度を改革し、世界大の価値配分を公正にする。(4)民主化運動の進展により、地球市民が国境を超えて世界大の民主主義を担う。いずれも国家主権の大幅な制約・修正を前提とする。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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