国指定史跡ガイド 「新居関跡」の解説
あらいのせきあと【新居関跡】
静岡県湖西市新居町にある関所跡。今切(いまぎれ)関所ともいう。旧新居町の中心部に位置し、1600年(慶長5)に設置されたと伝えられ、浜名湖西岸、標高2mの低地にある江戸時代の東海道の関所。当初は今切口近くにあって船着き場も備えていたが、元禄年間(1688~1704年)と宝永年間(1704~11年)の地震や津波によって再三移転し、1708年(宝永5)に現在地へ移転した。そして、1855年(安政2)の改築によって平屋建ての面番所は、入り母屋造り、本瓦葺きになり、前面は上之間、中之間、次之間に分けられ、その奥に御書院間、御用達場、上番勝手台所があり、さらに下番勝手休息所という3棟が付設されていた。このうち、御用達場と上番勝手台所の棟は失われているが、箱根や小仏(こぼとけ)などの関所建物は存在しないため、主要街道の関所建物としては全国で唯一残ったもので、江戸時代の交通政策や幕府の統治形態を示すものとしてその価値はきわめて高い。1921年(大正10)に国の史跡に、1955年(昭和30)には国の特別史跡に指定され、1999年(平成11)には西側にあった船会所、女改め長屋などが追加指定された。隣接する新居関所史料館では、「街道と関所」「旅と宿場」をテーマに関係資料を展示している。JR東海道本線新居町駅から徒歩約10分。