日本大百科全書(ニッポニカ) 「新領土」の意味・わかりやすい解説
新領土
しんりょうど
詩雑誌。1937年(昭和12)5月創刊、1942年1月終刊。全56冊。上田保(たもつ)、春山行夫(ゆきお)、近藤東(あずま)、村野四郎、永田助太郎、小林善雄(よしお)らを編集同人に、アオイ書房より刊行。詩と政治の緊張関係を国際的同時性において考察。M・ロバーツ、C・D・ルイス、S・スペンダーら、ニュー・カントリーNew Country派の詩論を積極的に導入。H・リード、A・ブルトンらの超現実主義詩論を紹介。第二次世界大戦前夜の主知主義を基調としたモダニズムの最後の王国として詩史的意義が再評価されている。1941年、山雅房より『新領土詩集』が刊行され、戦争詩や愛国詩の潮流に鮮烈な衝撃を与えた。戦後、奈切哲夫(なきりてつお)の編集で全6冊(1957.7~1958.7)が蒼樹(そうじゅ)社より復刊。さらに、志村辰夫(たつお)が「新領土の会」より『空間』(1961.6~1962.4)全2冊を刊行した。
[千葉宣一]