日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本大蔵経」の意味・わかりやすい解説
日本大蔵経
にほんだいぞうきょう
仏教の叢書(そうしょ)。本蔵48巻、解題二巻、目録一巻からなる。1914~22年(大正3~11)に松本文三郎(ぶんざぶろう)、中野達慧(たつえ)が中心となって編纂(へんさん)した。その方針は、漢訳大蔵経から重要な経・律・論を取り出し、これを日本撰述(せんじゅつ)の注釈と会本(えほん)にして編集することであった。経・律・論の三蔵および宗典の四部門に分かち、792部の典籍を収める。網羅的ではないが、重要な典籍を収め、ほかの叢書にみられない注釈を含んでおり、日本仏教の教理的研究にはきわめて有用である。修験道(しゅげんどう)関係の典籍を集めた点もほかにみられない特色である。なお、1973年(昭和48)から『増補改訂日本大蔵経』全100巻(うち解題三巻)が鈴木学術財団から刊行され、78年に完結した。解題には新しい研究が盛り込まれている。
[岡部和雄]