日本的キリスト教(読み)にほんてきキリストきょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本的キリスト教」の意味・わかりやすい解説

日本的キリスト教
にほんてきキリストきょう

昭和初期から第2次世界大戦敗戦までの期間にみられた日本のキリスト教,主としてプロテスタントの一部信徒の思想動向をさす概括的な概念。 1931年の満州事変から中国侵攻が泥沼化し,国際的にも孤立してアメリカ,イギリスなどの圧迫を受けて,国内では日本神話に基づく国粋主義,ファシズム体制が固まりつつあった。こうした風潮に対する反応として,一部キリスト者は,日本に現実化した福音から日本の歴史的現実をとらえるとして,主観的には古典や維新志士傾倒,客観的には神の正義の審判捨象していわゆる「神国」と神の国とを安易に同一視し,皇国使命皇室への忠誠をそのまま神の意志であるとした。こうして民族精神を無批判に肯定,戦争を賛美し,戦争倫理を肯定するにいたった。このような態度は,日本基督教会の牧師,今泉源吉による基督教尊皇愛国主義の提唱などに顕著にみられた。

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世界大百科事典(旧版)内の日本的キリスト教の言及

【キリスト教】より

…事実,内村鑑三以来,多くのキリスト教思想家,神学者,作家たちがこの問いをめぐって盛んに論じてきた。そこから〈日本的基督(キリスト)教〉を唱える者も現れたが,キリスト教が日本文化に根を張ることの困難さも指摘された。そこで起こっていることは,キリスト教の歴史の最初の数世紀間に,ギリシアおよびラテン教父たちによって成就されたキリスト教と古典古代文化との出会いになぞらえられるであろう。…

※「日本的キリスト教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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