傾倒(読み)ケイトウ

デジタル大辞泉 「傾倒」の意味・読み・例文・類語

けい‐とう〔‐タウ〕【傾倒】

[名](スル)
かたむき倒れること。また、かたむけ倒すこと。
「其の館舎が火焔の中に、―するを見て」〈竜渓経国美談
ある物事に深く心を引かれ、夢中になること。また、ある人を心から尊敬し、慕うこと。「漱石傾倒している」
[類語]ひたすらいちずひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らずまっしぐらしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中直線的専心専念没入没頭没我傾注猪突猛進ストレート我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ心酔尊敬敬う尊ぶ崇める仰ぐ敬する畏敬崇拝敬愛慕う敬慕敬仰景仰崇敬私淑心服敬服

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「傾倒」の意味・読み・例文・類語

けい‐とう‥タウ【傾倒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 立っていたものが傾いて倒れること。傾けて倒すこと。〔文明本節用集(室町中)〕〔白居易‐南湖晩秋詩〕
  3. 器をさかさまにして、中にはいっているものを出し尽くすこと。転じて、心情を吐露すること。
    1. [初出の実例]「可以傾倒数年隔闊之懐抱耳」(出典:宝覚真空禅師録(1346)坤・与月山記室)
    2. 「馬上に銀瓶を傾倒して、兎をもなまながら食やうなる人には何が我は勝ぞ」(出典:四河入海(17C前)二三)
    3. [その他の文献]〔杜甫‐雨過蘇端詩〕
  4. 興味をもち夢中になること。また、心から尊敬し、慕うこと。
    1. [初出の実例]「邂逅于福原之祥光榻談笑傾倒平生」(出典:投贈和答等諸詩小序(1464頃)送別)
    2. 「そのうちランボオに傾倒して文学を捨て」(出典:虚実(1968‐69)〈中村光夫〉小さなキャベツ)
    3. [その他の文献]〔杜甫‐奉贈射洪李四丈詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「傾倒」の読み・字形・画数・意味

【傾倒】けいとう(たう)

心を寄せる。〔世説新語、賞誉下〕孫興(綽)、(亮)の參軍と爲り、共に白石山にぶ。衞君長(永)、坐に在り。孫曰く、此の子、(すべ)て山水に關せざるも、能くを作ると。曰く、衞の風人にばずと雖も、傾倒の處も亦たからずと。孫、に此の言に沐浴す。

字通「傾」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android