野鳥や自然の保護活動を行う公益財団法人。自然にあるがままの野鳥に接して楽しむバードウォッチングの機会を設け、野鳥に関する科学的な知識とその適正な保護思想の普及を行い、野鳥を通じて人間性豊かな社会をつくることを目的として活動している。1934年(昭和9)に設立され、現在では、自然保護のための調査研究、バードサンクチュアリー(野鳥を主とした野生生物の保護区、北海道ウトナイ湖ほか)づくりや野鳥公園の設置・管理、探鳥会の実施、図書の出版などを通じ、野鳥保護の啓発活動をしている。このうち、探鳥会などの地域的な活動は、各地にある90の支部が中心になって行っている。なお日本野鳥の会は、バードライフ・インターナショナル(1993年、国際鳥類保護会議が改組して設立した国際組織)の日本におけるパートナー団体としても活動している。
[加瀬信雄]
…15歳で得度剃髪(ていはつ)。1934年,竹友藻風らとはかって〈日本野鳥の会〉を起こした。この会には,柳田国男,北原白秋,杉村楚人冠,内田清之助,黒田長礼,山下新太郎,山口蓬春などが多数参加して,当時起こりつつあった博物趣味に,高い文化性とそこはかとない野生との共存の哲学を秘め,科学と文芸の合体融合を願う姿勢をとるが,いささか高踏的雰囲気をもっていた。…
…自然の中であるがままの野鳥の姿や声を,鳥を傷つけたり驚かしたりすることなく観察し,観賞して楽しむ行為をいう。日本語では〈探鳥〉ないし〈探鳥会〉なる訳語があてられるが,このことばは,1934年中西悟堂が〈日本野鳥の会〉を創立したとき,〈野鳥〉とともに初めて用いたものである。〈日本野鳥の会〉の探鳥会が初めて行われたのは同年6月3~4日で,富士山麓の須走(すばしり)に,当時の文壇,画壇,歌壇の重鎮,著名な民俗学者,言語学者,動物学者,会社経営者,貴族およびその家族などが参加して行われた。…
※「日本野鳥の会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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