改訂新版 世界大百科事典 「早米」の意味・わかりやすい解説
早米 (はやまい)
早熟の稲すなわち早稲(わせ),または,その早稲を玄米などにして領主に一定期限内に年貢として納入したものをいう。〈そうまい〉とも読む。古代律令制でも早・晩の区別があったが,中世成立期になると,〈なかて(中稲)〉が現れ,早稲・中稲・晩稲(おくて)の区別が成立する。早稲の収穫期は,陽暦で8月中旬~9月中旬,中稲は10月上旬~中旬,晩稲は11月上旬~中旬ごろとみられる。早稲を領主に納入するものが早米,中稲を納めるものが中米,晩稲を納めるものが後米であると,一応考えられよう。夏の渇水期前に出穂する早米(早稲)は,干害・風水害などに遭いにくいので有利であった。また領主は,その年最初にとれた新米の納入米である早米の納入量と時期に特別な関心をもった。早米の納期は,鎌倉後期の東寺領若狭国太良荘(たらのしよう)の例では陽暦9月20日~10月10日ごろであり,その量は全年貢米のほぼ20%程度を占めていた。
執筆者:黒田 日出男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報