改訂新版 世界大百科事典 「明治文化研究会」の意味・わかりやすい解説
明治文化研究会 (めいじぶんかけんきゅうかい)
大正・昭和期の研究団体。1924年11月,前年の関東大震災で明治期文化財の大量消滅を憂えた吉野作造によって創立され,初期同人には石井研堂,尾佐竹猛,小野秀雄,宮武外骨,藤井甚太郎ら8名の民間研究者が加わった。会の目的は〈明治初期以来の社会万般の事相を研究し之れを我が国民史の資料として発表すること〉とした。例会では,同人および研究者の研究,同時代人の回顧談などが発表された。25年2月には雑誌《新旧時代》を発刊,27年2月までに23冊刊行,そのあと《明治文化研究》と改題した。28-30年には,明治維新から明治憲法発布・議会開設までの近代日本形成に影響を及ぼした重要文献を網羅した《明治文化全集》全24巻を刊行し,その後の明治史研究の基礎をきずいた。なお,同全集に付された月報《明治文化》と先の《明治文化研究》を合して29年7月には《明治文化》を発刊,太平洋戦争末期の44年1月まで刊行しつづけた。会は1933年吉野作造が没すると尾佐竹猛を会長として研究活動をつづけ,多くの日本近代史研究者を育てた。戦後再興され,木村毅,西田長寿らを中心に,例会,新版《明治文化全集》全16巻刊行などの活動をつづけている。
執筆者:由井 正臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報