木村毅(読み)キムラキ

デジタル大辞泉 「木村毅」の意味・読み・例文・類語

きむら‐き【木村毅】

[1894~1979]文芸評論家小説家岡山の生まれ。明治文化研究会同人として、創作・翻訳・評論に幅広く活躍日本フェビアン協会日本労農党にも参加し、社会運動に関わる。著作に「小説研究十六講」「日米文学交流史の研究」など。

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精選版 日本国語大辞典 「木村毅」の意味・読み・例文・類語

きむら‐き【木村毅】

評論家、小説家。岡山県出身。早稲田大学卒。明治文学文化の開拓的研究者の一人。「小説研究十六講」は近代文学研究活動を代表する一書。また、関東大震災後に発足した明治文化研究会の活動で重きをなした。小説家としても大衆文学の興隆期に独自の位置を占めた。「日米文学交流史の研究」「ラグーザお玉」など。明治二七~昭和五四年(一八九四‐一九七九

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木村毅」の意味・わかりやすい解説

木村毅
きむらき
(1894―1979)

小説家、評論家。岡山県生まれ。早稲田(わせだ)大学英文科卒業。『文章世界』ほかへの投書時代に田山花袋(かたい)に励まされ文学を志す。春秋社の発展に貢献し、安部磯雄(あべいそお)の日本フェビアン協会の創設賀川豊彦(とよひこ)の農民学校の建設、日本労農党の出版部長、同党教育部長の歴任など社会運動にも挺身するかたわら、改造社の『現代日本文学全集』、新潮社の『世界文学全集』などの編集企画にかかわるなど、多面にわたる出版文化への功績が大きい。小説『兎と妓生と』(1923)ほか、『小説研究十六講』(1925)、『文芸東西南北』(1926)、『明治文学展望』(1928)などの評論、『日本スポーツ文化史』(1956)、『日米文学交流史の研究』(1960)、『比較文学新視界』などの研究、そして『座談集明治の春秋』など、ユニークな著作がきわめて多い。大衆文学への功労や、明治文化研究会会長として『明治文化全集』『幕末明治新聞全集』『明治文化研究』などを刊行、『稿本早稲田大学百年史』第1巻上を執筆していることなども忘れられない。

[榎本隆司]

『谷沢永一編『木村毅博士著作目録』(『明治文化研究5』所収・1970・日本古書通信社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「木村毅」の意味・わかりやすい解説

木村毅 (きむらき)
生没年:1894-1979(明治27-昭和54)

大正・昭和期の小説家,評論家。明治文学研究の先駆者。岡山県に生まれる。1917年早稲田大学英文科を卒業し,隆文館,のち春秋社で編集者として活躍するかたわら評論活動をする。23年退社し,近代小説の理論的研究を行う(《小説の創作と鑑賞》1923,《小説研究十六講》1925)。一方,24年には日本フェビアン協会の創設に参加し,日本労農党の出版部長を務める。また明治文化研究会に入り,第3代会長となる(1948)。46年自由出版協会理事長,東京都参与,早大講師などを務める。原資料に立脚し,博覧と想像力とを学際的に駆使して明治文化研究をし(《明治文化研究》全6巻,1968-72),文化史的考証に業績を残した。
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百科事典マイペディア 「木村毅」の意味・わかりやすい解説

木村毅【きむらき】

小説家,評論家,文学史家。岡山県生れ。早稲田大学英文科卒業。《兎と妓生と》(1925年)によって創作活動に入る一方,吉野作造を中心として結成された明治文化研究会に参加,《明治文化全集》の編纂(へんさん)に尽力した。《小説研究十六講》(1925年)などの研究書をはじめ,小説《ラグーザお玉》(1931年)など多くの著作を残した。《日米文学交流史の研究》によって早稲田大学から文学博士号を受けている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「木村毅」の解説

木村毅 きむら-き

1894-1979 大正-昭和時代の文芸評論家,小説家。
明治27年2月12日生まれ。隆文館,春秋社で編集に従事。日本フェビアン協会や日本労農党にも参加する。明治文化研究会の同人で,明治文化・文学研究や実話文学,大衆小説史研究,評論などにすぐれた業績をあげた。昭和53年菊池寛賞。昭和54年9月18日死去。85歳。岡山県出身。早大卒。著作に「ラグーザお玉」「小説研究十六講」など。

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