改訂新版 世界大百科事典 「時分割多重通信」の意味・わかりやすい解説
時分割多重通信 (じぶんかつたじゅうつうしん)
time division multiplex communication
多重通信の一方式。略してTDMともいう。従来の通信システムでは,各回線情報の周波数スペクトルが,互いに重複しないように周波数軸上に並べて多重化する周波数分割多重化(FDM)方式が多く用いられてきた。これに対し各回線情報をそれぞれ細いパルス列にし,それを互いに時間的に重なり合わないように時間軸上に並べて多重化する方式のことを時分割多重化方式と呼び,これを応用した通信が時分割多重通信である。時分割多重化された各回線のパルス列は,パルスの種々のパラメーターを変化させることにより回線情報を担うことができる。これをパルス変調といい,その方法として,情報内容をパルスの振幅,位置,長さまたは幅,数またはコード(符号)などに変換する方法がある。これらの中で,通信伝送路の雑音などの妨害に対して強いパルス符号変調方式が,時分割多重通信方式として広く用いられている。
執筆者:金子 尚志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報