暇無(読み)いとまなし

精選版 日本国語大辞典 「暇無」の意味・読み・例文・類語

いとま‐な・し【暇無】

〘形ク〙
絶え間がない。とぎれる時がない。ひっきりなしだ。
万葉(8C後)一五・三六七二「ひさかたの月は照りたり伊刀麻奈久(イトマナク)海人(あまの)漁火(いざり)はともし合へり見ゆ」
② 落ち着く時がない。気ぜわしい。くつろげない。いとまあらず。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「『いとまなしや。姫松もつるもならびてみゆるにはいつかはみかのあらんとすらん』と書き給ふ」
物事をなしとげるには必要な時間が足りない。時間のゆとりがない。余裕がない。
今昔(1120頃か)三「家に貧しき老母有り、只我独(ひとり)して彼を養ふ。孝養するに暇无し」
いとまな‐げ
〘形動〙
いとまな‐さ
〘名〙

いと‐な・し【暇無】

〘形ク〙 (「いと」は、暇(いとま)の意) ひまがない。絶え間がない。いそがしい。あわただしい。
書紀(720)推古一二年四月(岩崎本訓)「公事(おほやけのわざ)靡盬(イトナシ)
浄瑠璃三世相(1686)三「雨とふる涙いとなき風情(ふぜい)なり」

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