書止(読み)かきとめ

精選版 日本国語大辞典 「書止」の意味・読み・例文・類語

かき‐とめ【書止】

〘名〙 書状など文書の末尾に書く文言。書止め文言。書状では「恐々謹言・謹言」、綸旨では「悉之」、御教書(みきょうじょ)などでは「仍執達如件」、下文(くだしぶみ)などでは「以下」というように文書の様式によってその文言はほぼ定まっている。とくに書状では相手との上下関係によって書札礼(しょさつれい)が定まっていた。
[語誌]代表的な例である「弘安礼節‐書札礼之事(1285)」によれば、「恐惶謹言」は、「誠恐謹言」に次いで敬意が高く、目上に対して最も広く用いられ、以下「恐々謹言」「謹言」等があって、目下に対しては「…如件」で結ぶ形式をとるという。実際の文書では「誠惶誠恐謹言」というさらに上位の表現や、「恐惶かしく」「恐惶敬白」といった「恐惶謹言」に準じた形式も見られ、他に「恐惶頓首」「匆々(草々)頓首」「以上」等が用いられる。いずれも実際の書状では符牒のように書かれる。

かき‐さ・す【書止】

〘他サ五(四)〙 (「さす」はある動作を中止する意) 書いていて途中でやめる。途中まで書く。
蜻蛉(974頃)下「やもめずみしたる男の、ふみかきさして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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