日本大百科全書(ニッポニカ) 「月経周期調節」の意味・わかりやすい解説
月経周期調節
げっけいしゅうきちょうせつ
月経の周期性を人為的に調整することをいう。自然に発生する周期性の乱れには希発月経、頻発月経、月経不順などがあり、その背景にある原因はさまざまである。したがって、年齢、未婚か既婚か、妊娠希望の有無などに応じて排卵誘発剤やホルモン剤などさまざまな薬剤が用いられるが、月経のもつ本来の規則的な周期性の回復が治療の主眼となる。
規則的な周期を示す健康な女性で次回の月経予定日を人為的に移行する周期調節法には、次のような方法がある。
(1)月経周期短縮法 卵胞ホルモン剤と合成の黄体ホルモン様製剤の合剤(混合剤)を卵胞期の早期から開始して7日間くらい服用すると、中止後2~3日で出血が始まり、予定より1~2週間早く月経となる。
(2)月経周期延長法 前述の混合剤を次回の月経予定日の少なくとも3日前から内服する。服用中止後3日くらいで出血が始まるが、月経予定日よりも2週間くらい月経を遅らせることができる。
月経周期短縮法および延長法のいずれの場合でもホルモン剤の内服以外に注射による方法もあるが、注射の場合は1回しか行わず、月経開始の時期に個人差に基づくばらつきがあるので、計画性を失うのが欠点である。
[新井正夫]