有馬大鑑迎湯抄(読み)ありまおおかがみげいとうしよう

日本歴史地名大系 「有馬大鑑迎湯抄」の解説

有馬大鑑迎湯抄
ありまおおかがみげいとうしよう

五巻 五冊

別称 「迎湯有馬名所鑑」「有馬名所鑑」ほか 生白堂行風編著

成立 延宝六年(自跋) 同年刊

原本 乾々斎文庫ほか

解説 有馬温泉は古来中央や全国各地の貴紳、著名文化人などが湯治のため来遊してさまざまな詩歌や紀行文なども残されているが、江戸時代に入ると来遊する者はますます多く、林道春(羅山)貝原益軒など当代一流の学者のほか、京坂近辺の学識者や好事家による有馬温泉地誌や案内記が次々と執筆・版行された。「有馬大鑑迎湯抄」はそうした版行本のうち最も詳細なもので、初めに温泉の所在地である湯山方角図を掲げたあと本文に入り、有馬温泉の歴史について説明したあと、名所古跡ごとに解説を行い、狂歌発句など古歌を紹介している。この地誌本の編著者生白堂行風は、先に版行された「有馬私雨(しぐれ)(平子政長編著・生白堂行風増補訂正。寛文一二年刊。「有馬私雨(わたくしあめ)」ともいう)の編著者原稿を増補訂正したことで知られる人物で、「有馬大鑑迎湯抄」は「有馬私雨」の内容をさらに増補改訂したものである。なお「有馬大鑑迎湯抄」の版本には延宝六年版のほかに、第一巻巻頭の湯山方角図の前に温泉の効能を記した一丁を補った天和三年版があり、また「有馬大鑑迎湯抄」の第一巻と第二巻のみを独立させ、少し手を加えて同じ天和三年に版行された「新板有馬名所鑑」(別称「有馬名所鑑」「有馬小鑑抄」)がある。

活字本 昭和五〇年刊有馬地誌集(近世文学資料類従「古版地誌編」二一)所収

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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