あさつゆ‐の【朝露の】
枕
① 朝おりている露がすぐ消えてしまうところから「け(消)」「きゆ(消)」にかかり、消えやすくはかない意をこめて「わが身」「命」にかかる。
※
万葉(8C後)九・一八〇四「箸向ふ 弟
(おと)の命
(みこと)は
朝露乃
(あさつゆノ) 消やすき命
(いのち) 神のむた 争ひかねて」
※続
古今(1265)雑下・一七八九「
何事に思ひ消ゆらむ朝露の憂き我身だにあればある世に〈
藤原基俊〉」
② 朝露が置くの意で、「置く」と同音の「起く」「
晩稲(おくて)」にかかり、のちには、「丘
(をか)」などにもかかる。
※古今(905‐914)恋三・六四一「ほととぎす夢か
うつつか
あさつゆのおきて別れし暁の声〈よみ人しらず〉」
※続千載(1320)秋上・三五七「朝露のをかの萱原
(かやはら)山風に乱れて物は秋ぞ悲しき〈後
鳥羽院〉」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「朝露の」の意味・読み・例文・類語
あさつゆ‐の【朝露の】
[枕]
1 朝露の消えやすく、はかない意から「消」「いのち」「わが身」にかかる。
「―消やすき我が身」〈万・八八五〉
「―いのちは生けり恋は繁けど」〈万・三〇四〇〉
2 露がおく意から「おく」にかかる。
「―置きてし行けばけぬべき物を」〈古今・離別〉
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