山風(読み)ヤマカゼ

デジタル大辞泉 「山風」の意味・読み・例文・類語

やま‐かぜ【山風】

山に吹く風。山から吹いてくる風。
夜間尾根から谷、谷から平野部へと吹き下ろす風。山の斜面放射冷却し、重くなった大気が低い方へ流れ出すために起こる。
[類語]追い風順風向かい風逆風横風朝風夕風夜風松風まつかぜ松風しょうふう山颪谷風川風浜風潮風海風陸風熱風温風冷風雨風波風風浪風雪風雨無風微風そよ風軟風強風突風烈風疾風はやて大風颶風暴風爆風ストーム台風ハリケーンサイクロン神風砂嵐つむじ風旋風竜巻トルネード春一番春風しゅんぷう春風はるかぜ花嵐薫風風薫る緑風やませ涼風すずかぜ涼風りょうふう秋風野分き木枯らし空風寒風季節風モンスーン貿易風東風ひがしかぜ東風こち西風偏西風南風みなみかぜ南風はえ凱風北風朔風

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精選版 日本国語大辞典 「山風」の意味・読み・例文・類語

やま‐かぜ【山風】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 山中を吹く風。また、山から吹きおろす風。山おろし。
    1. [初出の実例]「春のきる霞の衣ぬきをうすみ山かぜにこそみだるべらなれ〈在原行平〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・二三)
  3. 夜間、谷間から平地に向かって吹き出してくる風。谷間の空気放射冷却によって平地よりいっそう冷却するために生ずる。

さん‐ぷう【山風】

  1. 〘 名詞 〙 山から吹きおろしてくる風。山岳の冷えた空気が、山頂から渓谷や平野に移動するため起こる風。やまかぜ。〔駱賓王‐早発諸曁詩〕

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パラグライダー用語辞典 「山風」の解説

山風

海岸付近に発生する「海風・陸風」と同じ様に内陸部でも「山風・谷風」がある。日中、照射されやすい山に向かって風が吹き、これを「山風」という。逆に夜は山斜面は冷却されやすく山から谷に向かって「谷風」と呼ばれる風が吹く。上記説明は一般的な定説であるが、すこし考えると矛盾がある。1 山の斜面が南側だったら照射量が多く、山風の循環はうなずける。しかし、照射量が谷より少ない北斜面でも山風が起きているのはなぜか?2 夕方、一番最初に日陰となり冷却されるはずの谷に熱がのこり、逆に最後まで照射される山斜面から放射冷却が起り谷風がはじまるとはどう言う事なのか?山風とは照射量の違いによる風の循環ではなかったのだ。図1は日中の谷(平地)の空気の状態を表したものである。 日射により軽い空気が発生し、上に「上がろうとする力」が発生しても、空気が上がる為にはその空気の上にある空気を押しのけ、またその空気の下に他の空気が入り込まないとその空気は上がれない。「上がろうとする空気に対抗する力」以上に強くならないと空気は上がらず、結果、地表に留まる。すると、その空気は自ら動くことはできず、外部からの力に左右されるようになる。つまり、外部から力がかかるとその空気は移動を始める。図1ではその力を「移動する力」と表現している。図2は山(斜面)の空気の状態である。 日射により空気が軽くなっても、平地と同じく「地表から剥がれようとする力」が「地表に留まろうとする力」と同じか小さい場合、空気は地表に留まっている。しかし、「斜面を上がる力」は働き、空気は地表を離れず斜面を上に移動する。移動した軽い空気は、次のまだ移動していない軽い空気をもとり込みしだいに成長する。この様なことから、軽くなった空気は斜面を駆け上がり、成長し、山頂から上空へあがっている。図1で示す「移動する力」に依存した谷(平地)の空気は、図2で示した(斜面)をのぼる空気に吸い寄せられる。 谷ではサーマルとして上がれなかった軽い空気も斜面ではのぼる力を発生させ、日中では山風を確実なものとしている。谷風 夜間では 日中と全く反対現象がおきる。放射冷却で冷え、重くなった空気は、斜面を下ろうとする力をうむ。図3斜面を下り谷(平地)まで達した空気は元々平地にあった空気を押し上げる。図4谷に居座ろうとする空気も次の冷たい空気により押し上げられる。軽いから上がるというよりも、上に押し上げらげる。(相対的に軽いと言う意味では軽い)こうして「日中の山風 夜間の谷風」が起こり、その変わり目に「なぎ」が発生する。山風・谷風は太陽の照射量の違いや放射冷却の差によるものではなく、斜面がもつ力の特性からくるものである。筆者が「山風 谷風」の発生理論にこだわるのは、この考え方がしっかり理解できていれば、1 なぜサーマルは山頂に発生しやすいのか?2 なぜサーマルは平地よりも山に発生するのか?3 なぜグランドサーマルは午前より午後の方が発生しやすいのか?5 なぜ大気の循環はおこるのか?などがわかってくると思われ、これからパラグライダーを楽しんでいく上で非常に大切な事となる。
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百科事典マイペディア 「山風」の意味・わかりやすい解説

山風【やまかぜ】

夜間に谷の奥から吹き出してくる風。山の斜面にはさまれた谷の部分の大気が,開けた平野部の大気より早く冷却するために起こるもので,冷却した大気が斜面を降下しているカタバティック風の一種とも考えられる。→山谷風

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改訂新版 世界大百科事典 「山風」の意味・わかりやすい解説

山風 (やまかぜ)

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普及版 字通 「山風」の読み・字形・画数・意味

【山風】さんぷう

山の風。

字通「山」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山風」の意味・わかりやすい解説

山風
やまかぜ

山谷風

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世界大百科事典(旧版)内の山風の言及

【木室卯雲】より

…江戸中期の狂歌作者,噺本作者。本名は木室朝濤(ともなみ),通称は庄七郎,庄左衛門,七左衛門,別号は二鐘亭半山,山風。江戸の幕臣で初め江戸座の俳人として活躍,山風の戯号で噺本《鹿の子餅》を著し江戸小咄流行の端緒を開いた。…

【風】より

…(2)山谷風 海陸風が発達するのと同じような気象条件のとき,昼間は麓から吹き上がり,夜間は山頂から吹き降りる風がある。前者を谷風,後者を山風といい,両者を合わせて山谷風と呼んでいる。谷風,山風はそれぞれアナバティック風anabatic winds,カタバティック風katabatic windsとも呼ばれている。…

【山谷風】より

…山岳地帯に現れる局地風系の一種。昼間,平野部から谷に,さらに谷から尾根に向かう風(谷風)が吹き,夜間,尾根から谷へ,谷から平野部に向かう風(山風)が吹く。このように日変化する風系を山谷風という。…

※「山風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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