朝鮮人学校事件(読み)ちょうせんじんがっこうじけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「朝鮮人学校事件」の意味・わかりやすい解説

朝鮮人学校事件
ちょうせんじんがっこうじけん

1948年(昭和23)3~5月、民族教育抑圧に対して行われた在日朝鮮人による抗議闘争。47年10月、朝鮮人初等、中等学校は548校、児童・生徒6万余人を数えたが、翌年1月、当時の文部省占領軍の方針に従い在日朝鮮人の自主的教育権を否定する旨を指示、3月以降各地で学校閉鎖命令が出た。これに対し在日朝鮮人連盟を中心に反対運動が起こり、4月23日大阪で1万5000人集会がもたれた。しかし警察は179人検挙という弾圧を加え、さらに翌日夜には神戸市で米軍が占領後初の非常事態宣言を発し1732人を検挙、うち136人を軍事裁判にかけた。ついで26日大阪で朝鮮人不当弾圧反対人民大会(3万人)が開かれるが、ここでも警官隊が実力行使、少年が射殺される惨事を生み、ようやく5月3日政府と在日朝鮮人連盟との間で和解がなった。

[荒川章二]

『尾崎治著『公安条例制定秘史』(1978・柘植書房)』『金慶海著『在日朝鮮人民族教育の原点 4.24阪神教育闘争の記録』(1979・田畑書店)』『小沢有作著『在日朝鮮人教育論・歴史編』(1973・亜紀書房)』

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