国指定史跡ガイド 「末吉宮跡」の解説
すえよしぐうあと【末吉宮跡】
沖縄県那覇市首里にある神社跡。首里城の北方、末吉の崖上にあり、尚泰久(たいきゅう)の時代に熊野三社権現を勧請して奉祀したことに始まるという。沖縄における神仏混淆、本地垂迹(ほんじすいじゃく)の信仰形態をみるうえでも貴重なことから、1972年(昭和47)に国の史跡に指定。末吉宮は琉球八社の一つで、琉球王国第一尚氏6代目の尚泰久の時代、1456年ごろに天界寺の住持、鶴翁和尚と泰久がともに霊夢を見、熊野権現を勧請したものという。本殿は三間社流れ造り、屋根は赤瓦の本葺き。前面に向拝を付け、本殿前の小さな谷に切り石のアーチ橋を架け、切り石を積みあげて構築した磴道(とうどう)に連結していた。磴道は、参道を登りつめたところから祭場までの8段、祭場から拝殿跡までの21段および拝殿跡から本殿までの7段の一連の石造階段部分をいう。磴道に続く参道として沖縄特有の石畳道がつくられ、また左右に点々と「いべ」と呼ばれる神域が設けられている。第2次大戦によってこれらの遺構は破壊されたが、現在は磴道と社殿が復元され一帯は末吉公園となっている。那覇から車で約10分。