向拝
こうはい
日本建築において、建物の前面に屋根を突き出した部分。近世には御拝とも書かれたので、「ごはい」とよぶ人も多い。本来は階隠(はしかくし)のためにつくられたもので、屋根は本体から葺下(ふきお)ろし縋破風(すがるはふ)をつける。近世の向拝では正面に唐(から)破風をつけ飾るものもある。向拝は出入口にあたるので、本体より飾る場合が多く、頭貫(かしらぬき)を虹梁(こうりょう)形にし木鼻(きばな)も彫刻をつけ、頭貫上に蟇股(かえるまた)を置く。建物の背面にも屋根を突き出すことがあるが、その場合は区別して後拝と書くこともある。向拝にかけられた垂木(たるき)を打越(うちこし)垂木とよび、向拝柱列は繋(つなぎ)虹梁や手挟(たばさみ)で緊結される。
[工藤圭章]
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こう‐はい カウ‥【向拝】
〘名〙
※延慶本平家(1309‐10)一本「近来忝向拝之族又以断絶」
②
神社や
寺院の正面で、屋根を前に張り出した場所。①を行なう所。
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向拝
こうはい
御拝 (ごはい) ともいう。社寺の堂や社殿の正面階段上にふきおろしの屋根,ひさしをつけたところ。ここで参詣者が礼拝する。
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こう‐はい〔カウ‐〕【向拝】
社殿や仏堂で、屋根を正面の階段上に張り出した部分。参拝者の礼拝する所。階隠し。御拝。
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世界大百科事典内の向拝の言及
【社寺建築構造】より
…これらの部材からなる骨組みを軸部と呼ぶ。柱には丸柱と角柱があり,主要な部分には丸柱を用い,向拝(ごはい∥こうはい)や裳階のような従属的部分に角柱を使う。丸柱は,中ほどにギリシア建築のエンタシスに似た胴張りのあるもの(飛鳥時代),上端を丸く細めたもの(奈良時代),上にいくにしたがい細くなるもの(大仏様),上下端を細めたもの(禅宗様)がある。…
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