朝日日本歴史人物事典 「本康親王」の解説
本康親王
生年:生年不詳
平安前期の皇族で官人。仁明天皇の第5皇子で母は慈野貞主の娘縄子。一品式部卿宮,八条宮と称される。貞観5(863)年に兵部卿に任じられ,帯剣を賜った。20年後,式部卿に転じた。香の調合の名人といわれ,『源氏物語』(梅枝)では紫の上が「八条の式部卿の御方を伝へて」と,親王の調合法を伝授していたことになっている。『薫集類抄』によると,その調合は沈を主に甲香,丁子,白檀などを合わせ,1日酒につけたあと乾かしたり,ひと晩馬糞の下に埋める,といった独特のもの。その日記は『西宮記』に逸文として残る。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報