デジタル大辞泉 「雲居」の意味・読み・例文・類語 くも‐い〔‐ゐ〕【雲居/雲井】 《「居」はすわるの意。「井」は当て字》1 雲のある場所。雲のたなびいている所。大空。「みずからを―のひばりに比べ」〈倉田・愛と認識との出発〉2 雲。「はしけやし我家わぎへの方よ―立ち来くも」〈記・中・歌謡〉3 はるかに遠く、または高く隔たった所。「―なる海山越えてい行きなば吾あれは恋ひむな後は相寝あひぬとも」〈万・三一九〇〉4 宮中。禁中。「わざとの御学問はさるものにて、琴、笛の音にも―を響かし」〈源・桐壺〉5 皇居のある所。みやこ。「秋の夜のつきげの駒よ我が恋ふる―を駆けれ時の間も見む」〈源・明石〉 うんご【雲居】[江戸前期の僧] [?~1659]江戸前期の臨済宗の僧。土佐の人。本姓、小浜氏。諱いみなは希膺きよう。松島の瑞巌寺を中興した。 うんご【雲居】[中国唐代の禅僧] [835~902]中国、唐代の禅僧。名は道膺どうよう。曹洞宗の洞山良价に師事し、江西省永修県の雲居山に住み、その宗風を宣揚した。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「雲居」の意味・読み・例文・類語 くも‐い‥ゐ【雲居・雲井】 〘 名詞 〙 ( 「居」はすわるの意。「井」は当て字 )① 雲のある所。空の高い所。大空。天上。[初出の実例]「人を思ふ心はかりにあらねどもくもゐにのみもなきわたるかな〈清原深養父〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋二・五八五)「杖に扶られて門を出づれば、病もやや忘れたるやうにて籠の鳥の雲井にかへるここちす」(出典:読本・雨月物語(1776)夢応の鯉魚)② 雲。[初出の実例]「はしけやし 我家(わぎへ)の方よ 久毛韋(クモヰ)立ち来も」(出典:古事記(712)中・歌謡)③ 中心となるべき所からはるかに隔たった場所。遠く、または高く離れた所。[初出の実例]「名ぐはしき 吉野の山は 影面(かげとも)の 大き御門ゆ 雲居にそ 遠くありける」(出典:万葉集(8C後)一・五二)④ 皇居。宮中。また、天皇、皇室をもいう。[初出の実例]「雲井にてよをふるころは五月雨のあめのしたにぞ生けるかひなき」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇六)⑤ 皇居のある所。すなわち、都。[初出の実例]「潔く討死し、屍は野外に埋み名をばくもゐにしらせんと」(出典:浄瑠璃・頼光跡目論(1661‐73頃)二)⑥ きざみタバコの一銘柄。専売制度以前にあったもので禁裏御用となったところからの名という。常陸国久慈郡太田(茨城県常陸太田市)付近の産。香りは高く、味は軽い。[初出の実例]「浪花より今度は雲井(クモゐ)になされ又薫りがちかふたものじゃ」(出典:洒落本・文選臥坐(1790)東北の雲談)⑦ 香木の名、分類は真南蛮(まなばん)。香味は苦甘。六十一種名香の一つ。香りは重々しく品位がある。〔名香合(1502)〕⑧ 「雲井調子(くもいぢょうし)」の略。 うんご【雲居】 江戸前期の臨済宗の僧。土佐の人。号は把不住軒、姓は小浜氏。松島瑞巖寺の中興。万治二年(一六五九)没。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例