日本歴史地名大系 「札内N遺跡」の解説
札内N遺跡
さつないえぬいせき
十勝川と札内川との合流点に近い標高五〇―六〇メートルの段丘西縁に位置する後期旧石器時代―縄文時代の遺跡。平成五年(一九九三)から同一〇年に農地改良工事に伴う発掘調査が幕別町教育委員会によって行われ、後期旧石器時代の遺物集中範囲や、縄文時代晩期の墓壙群が出土した。旧石器時代の調査では不整形剥片石器群の集中三ヵ所と、有舌尖頭石器群の集中七ヵ所の時期差を有する石器群が出土した。後者は大小の有舌尖頭器・削器・掻器・彫器・石斧などで構成され、顔料の原材料や顔料が付着した台石などを伴う。縄文時代の調査では早期―晩期の遺構・遺物が出土しており、2区とよばれる標高六〇メートル前後の斜面に近い平坦部からは晩期後半の幣舞式土器期の墓と考えられる土壙一四一基が出土した。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報