杉本かね(読み)すぎもと・かね

朝日日本歴史人物事典 「杉本かね」の解説

杉本かね

没年:大正4.11.25(1915)
生年:天保9(1838)
明治期の看護婦。正規の教育を受けたわけではないが,専門職の看護婦としてわが国最初の人とされている。江戸の富岡小八の娘で,16歳で新宿の商家杉本仙太郎に嫁ぐ。2子をもうけたが,27歳のときに夫と死別。明治1(1868)年,官軍病院の看護婦となった。続いて大学東校(東大医学部)に勤めたが,6年,佐藤尚中の順天堂医院設立に当たって同院看護婦取締となり33年まで勤務した。尚中の養子で順天堂院長となった佐藤進に随って22年の大隈重信テロ遭難の際の大手術にも従事した。

(平尾真智子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「杉本かね」の意味・わかりやすい解説

杉本カネ
すぎもとカネ

[生]弘化4(1847)
[没]1925.11.25. 東京
日本最初の看護師。本姓富岡。旗本杉本仙太郎に嫁いだが寡婦となり,明治1 (1868) 年大病院 (東京大学医学部前身) の看護婦となり,のちに看護婦取締となる。 1872年佐藤尚中とともに辞職して博愛社に移り,1873年順天堂の開設に伴って同院の看護婦取締となり,1892年まで 20年間勤めた。

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