日本大百科全書(ニッポニカ) 「李秉喆」の意味・わかりやすい解説
李秉喆
りへいてつ / イビョンチョル
(1910―1987)
韓国(大韓民国)の実業家、新聞経営者。慶尚南道宜寧(ぎねい)の出身。1934年(昭和9)日本の早稲田(わせだ)大学を中退、大邱(たいきゅう)に帰り商業を営み始めたが、成功を収めたのは第二次世界大戦後である。李承晩(りしょうばん)大統領の支援を受け、第一製糖、第一毛織を設立したのを基礎に韓国最大の三星(サムソン)財閥を形成した。グループ傘下には三星物産、三星電子など約30社があり、家庭電化器具、半導体製品などが「サムソン」のブランド名で販売されている。またマスコミ界にも進出、1965年『中央日報』を創刊した。経済人協会長(1961)などを歴任。1982年以来、韓日経済協議会顧問を務めるなど日本の経済界と密接な関係をもった。『湖巖(こがん)自傳』(1986)などの著書がある。
[小松原久夫]