朝日日本歴史人物事典 「杣田光正」の解説
杣田光正
生年:寛政6(1794)
江戸後期の螺鈿工。越中国富山の出身で,通称は弥平太。京都の青貝細工師杣田清輔が,富山藩2代藩主前田正甫(1649~1706)に招かれて興した杣田細工の伝統を継承し,さらに江戸で学ぶなどして,独自の境地を拓いた。杣田細工は,薄貝を切って長方形,方形,菱形などの細片にし,それを漆を塗った面に貼り付けて文様を表す方法で,江戸後期から明治期にかけて,特に印籠などの装飾に用いられて大いに好評を博した。その典型作として「小紋螺鈿印籠」「網文螺鈿印籠」(いずれも東京国立博物館蔵)などがある。
(小松大秀)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報