知恵蔵 「東アジアの共通通貨」の解説 東アジアの共通通貨 東アジアの地域統合を進める上で、地域共通の通貨を使用することは重要な目標である。政治体制、宗教、民族等も異なる東アジアではその実現は容易でなく20〜30年程度後になるという意見が多いが、アジア通貨危機をきっかけに域内金融協力の機運は徐々に高まっている。自国通貨が米ドルにペッグ(釘付け、リンク)していたことが通貨危機の一因であり、この点、まず複数の通貨バスケット指数を作り自国通貨の動きをモニターすることが考えられる。次に、各国通貨がまず個別通貨バスケット制に移行し、次いで共通通貨バスケット制に移行することが考えられる。例えば、貿易、資本取引で使用する米ドル、ユーロ、日本円の割合を見てこのバスケットの構成通貨を考えることになる。もっとも、日本円、豪州ドル等の一部の通貨を除き、人民元を始めほとんどの東アジア各国通貨には実質的に為替管理が残っていることから、そのままバスケットの構成通貨とすることは難しい。中国人民元は日本円や韓国ウォンと並んで大きな役割を果たそうが、交換性を持つことが条件となる。 (絹川直良 国際通貨研究所経済調査部長 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by