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人民元 じんみんげん

知恵蔵の解説

人民元

従来、中国の通貨である人民(中国人民銀行幣)は、為替管理相場制によって固定されており、基本的には1米ドル=8.276〜8.280元の狭い範囲でしか変動しなかった。中国の経済発展による安い製品の大量輸出に悩む米国や日本は、人民元がドルや円に対して割安でありすぎるとして、人民元の切り上げを促し、2003年9月にタイで開かれた財務相会議(G7)では、中国が「より柔軟な為替管理」を実施するよう、共同声明に盛り込まれた。しかしこのような圧力に対して中国当局は、「自国の為替制度を選択する自由がある」と譲らなかったため、人民元の切り上げ問題は中国経済をめぐる焦点になってきた。そのような中、中国当局は05年7月、人民元の切り上げを発表して国際的な注目を集めたが、その幅は2%と小さく、国際協調への小さな一歩でしかなく、人民元切り上げへの外圧はまだ強い。

(中嶋嶺雄 国際教養大学学長 / 2008年)

人民元

中華人民共和国の通貨で、人民幣(レンミンペイ)と称する。通貨の基本単位が「元」であることから「人民元」と通称される。外国為替は、中国通貨当局の管理下で一定の幅だけ動く、限定的な変動相場制が採用されている(管理フロート制)。2015年8月に管理方法を一部変更した後に対ドル相場が急落、直前の6.2元前後から翌16年1月までには6.6元程度に元安が進んでいる。
人民元は、1949年の中華人民共和国建国の少し前に、共産党支配地域ごとにまちまちだった地域貨幣に代わる管理通貨として創設された。その後、中ソ対立やプロレタリア文化大革命などで「自力更生」の社会主義計画経済路線をとっていたため、外国貿易は限定的にしか行われず、全ての外貨取引が政府の管理下におかれた。70年代には米中国交正常化を経て交易が活発化し、戦後の米ドル金為替本位制度崩壊に伴い、人民元も対米ドル固定相場から複数の外貨と連動する通貨バスケット制への移行を迫られた。80年代には改革開放政策が進展、国際通貨基金(IMF)加盟を果たし各地に経済特区が設置された。この頃、外貨との交換や輸入品の購入が可能だった「兌換(だかん)元(=外貨元)」があったため、外貨とは交換できない国内通貨のことを人民元と呼んだ時期がある。市場経済への移行期に当たるこの時代は、貿易決済でのレートが、兌換元の公定レートと別に定められ、二重相場制などとも呼ばれていた。90年代半ばに経済成長が進み社会主義市場経済が本格化、外国からの投資活性化のために兌換元と共に二重相場が廃され、管理フロート制が採られた。しかし、ほどなく97年のアジア通貨危機により、周辺諸国は変動相場制への移行を余儀なくされる。この時期に中国はむしろ為替管理を強化し、事実上ドルと連動させた対ドル約8.28元の固定的な相場を維持した。その後、中国経済が足早に発展する中で日本や米国などから柔軟な為替管理を強く求められ、2005年には事実上の固定相場を廃し、通貨バスケットを参考にする管理変動相場制が再開された。以降もたびたび管理方式が変更されるなど紆余(うよ)曲折を経ながらも、為替相場の管理はより緩やかになり、15年までには対ドル6.2元程度に値を上げていた。ただし、為替レートが市場にゆだねられる完全な変動相場制ではなく、現在もなお、ある一定の振れ幅を見込んだ上で中国政府・中央銀行が任意に調整するという内容である。
1980年代の改革開放政策初期には軽工業など安価な労働力による労働集約型の産業で市場を席巻、海外からの投資を呼び込み合弁企業を含め製造業では国有企業を中心とした重工業化を推進してきた。人民元高はコストを押し上げるが、元の購買力を上昇させる効果も果たした。しかし、近年の景気過熱は経済失速と生産設備等の過剰傾向を帯び始め、これに危機感を持った外資が流出してきている。とはいえ、中国人民銀行がドル売り元買の介入を続けるにも限度がある。しかも、15年11月には人民元はIMFの特別引き出し権(SDR)の構成通貨の一つとなった。こうした中で、当局が更に強硬な通貨介入を行うことは難しいものの、金融市場の大幅な自由化に踏み切るとも考えられない。円安に舵を切った日本経済にとって、人民元の趨勢は非常に大きな影響を持ち、政財界からはその推移に注目が集まっている。

(金谷俊秀  ライター/ 2016年)

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デジタル大辞泉の解説

じんみん‐げん【人民元】

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百科事典マイペディアの解説

人民元【じんみんげん】

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外国為替用語集の解説

人民元

CNY、人民元、人民幣(Renminbi)、RMB。中華人民共和国の通貨。中国は日本に次ぐ外貨準備を保有し、対米貿易黒字も年々膨らみ、米国の対中貿易赤字が日本を追い越し最大となっている。管理変動相場制といいながらも、ほぼ1ドル=8.278元に固定、経済力に応じた通貨調整が行われていない。他通貨との交換性も制約されており、国際金融市場でほとんど取引されていない。

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FX用語集の解説

人民元

中華人民共和国の通貨を日本語で慣用的に呼ぶ言い方です。中国語では「人民幣」といいます。中国の経済発展により、人民元の切り上げが課題となっていましたが、 2005年7月21日に中国政府が通貨バスケットによる管理フロートを導入し、事実上の人民元切り上げが行なわれました。

出典|(株)外為どっとコムFX用語集について | 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

人民元
じんみんげん
renminbi; yuan

中国中央銀行である中国人民銀行が発行する通貨。1970年代前半に世界主要国の通貨は変動為替相場制度に移行したが,中国政府は長らく人民元について対ドルの固定為替相場制度を堅持した。世界各国からの批判が高まるなか,2005年7月,中国人民銀行は通貨制度改革を発表し,複数の通貨による通貨バスケットを参考とする管理変動為替相場への移行に踏み切った。以後,しだいに国際通貨の道を歩みだし,2014年6月までに米ドル,オーストラリア・ドル,ニュージーランド・ドルポンドとの直接取引を実現した。さらに 2015年には,主要通貨の象徴といえる国際通貨基金 IMFの SDR特別引出権)の構成通貨見直しの際に,米ドル,円,ユーロ,ポンドに次いで構成通貨の仲間入りを果たした。2015年11月30日 IMF理事会が正式決定。人民元は世界の主要通貨の一つという立場を明確にしたといえるが,完全な変動相場制への移行は実現していないことから,政府による管理通貨である,ドルに対する割安操作を行なっているなどの批判がある。

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