国指定史跡ガイド 「東海庵書院庭園」の解説
とうかいあんしょいんていえん【東海庵書院庭園】
京都府京都市右京区花園妙心寺町にある庭園。1931年(昭和6)に国の史跡および名勝に指定された。東海庵は悟渓宗頓(ごけいそうとん)を開祖とし、1484年(文明16)に創建された妙心寺(みょうしんじ)の塔頭(たっちゅう)で、庭園は書院の西側にあり「東海一連の庭」と呼ばれ、1814年(文化11)に東睦宗補(とうぼくそうほ)によって作庭された。絵画の構想に基づく枯山水庭園の清雅な小庭で、三方を築地で囲まれた南北に細長い敷地の中央やや南寄りに三尊石組みがある。北西部には南から蓬莱、方丈、瀛洲(えいしゅう)の三つの島に見立てた低い築山が造られ、東海に浮かぶ神仙三島を表し、その手前には礼拝石を置き、左右に亀頭尾石を配している。書院西縁の北端には一文字の手水鉢があり、縁側中央には沓脱ぎ石と一段低くなった長延石が据えられ、飛び石が南築地に開く庭門に続き、庭の東の一角には春日形灯籠と橋杭の手水鉢が据えられている。この庭園は作者の手になる姿図が残されている稀有な遺構であり、江戸時代後期の意匠や手法を知るうえで貴重であるとされている。JR山陰本線花園駅から徒歩約10分。