東蝦夷地南部藩陣屋跡(読み)ひがしえぞちなんぶはんじんやあと

国指定史跡ガイド 「東蝦夷地南部藩陣屋跡」の解説

ひがしえぞちなんぶはんじんやあと【東蝦夷地南部藩陣屋跡】


北海道室蘭市などにある、江戸幕府から蝦夷地(えぞち)警護の命を受けて南部藩が建てた3ヵ所の陣屋跡。指定名称は「東蝦夷地南部藩陣屋跡 モロラン陣屋跡(モロランじんやあと) ヲシャマンベ陣屋跡(ヲシャマンベじんやあと) 砂原陣屋跡(さわらじんやあと)」。南部藩は恵山岬から東蝦夷地幌別まで一帯の海岸を担当して、そのために必要な陣屋を設置した。モロラン陣屋跡は、現在の室蘭市陣屋町に2重の土塁をめぐらせて造った出張陣屋で、今も古井戸などが残っている。1934年(昭和9)に国指定史跡となり、1954年(昭和29)には「南部陣屋碑」が建立された。JR室蘭本線本輪西駅から車で約10分。山越郡長万部(おしゃまんべ)町陣屋町にあるヲシャマンベ陣屋跡は、1856年(安政3)にモロラン陣屋のヲシャマンベ分屯所として設置されたもので、現在も壕や土塁の跡が残っている。貴重な近世史跡として、1974年(昭和49)に国の史跡として追加指定された。JR函館本線長万部駅から徒歩約15分。砂原陣屋跡は茅部郡森町砂原にあり、同じく砂原分屯所として設置されたもので、東西約67m、南北約59mの方形周囲に高さ約3mの土塁を備えている。ヲシャマンベ陣屋跡と同時に追加指定を受け、3ヵ所をあわせた名称に変更された。JR函館本線渡島砂原駅から徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報