土居(どい)とも。土を盛りあげ土手状にした防御施設。城郭などの周囲に築き城壁とした。断面は三角形ないし台形となる。土をたたきしめた敲(たたき)土居と芝を張った芝土居があり,土を薄い層状につき固めて積み重ねたものを版築(はんちく)土塁とよぶ。弥生時代の環濠集落や古代山城から用いられ,中世城郭では一般的になり,平城で先行して使用され,山城に出現するのは戦国期に入ってから。近世には石垣の使用が多くなる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
… 一方,恒久的な材料を用いる垣としては石垣や石柵がある。石材を用いずに土を土手状に敷地の周囲に積んだものも城郭や寺院などに多く用いられたが,これらは一般に土居(どい)または土塁(どるい)と呼ばれることが多く,そのなかで芝を植えて崩れないようにしたものを芝垣(しばがき)と呼ぶこともあった。以上のように,垣の本来の目的は,ある場所を囲って,人や獣の侵入,のぞき見,風害などを防ぐことであるが,神聖な場所を囲う場合や,美観を主にする場合もある。…
…城郭や屋敷地の周囲に防御のために築いた盛土のこと。土塁とほとんど同じ意味であるが,近世までは土居の語を用いた。また土居で防御された敷地全体,例えば土居屋敷を単に土居と呼ぶ例が中世以来あり,とくに土佐,伊予,淡路などに多い。…
…しかし古代には都市そのものが市壁で守られ,人家は稠密(ちゆうみつ)に建てられていたので,市内の建物に塀をめぐらすことはまれであった。他方,市外の農場や牧場は石や土を積んだ石垣や土塁,あるいは灌木の生垣で囲んで,動物の侵入や逃亡を防いだ。また,古代ローマのウィラも,もちろん塀や石垣で囲まれていた。…
※「土塁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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