東韃地方紀行(読み)とうだつちほうきこう

日本歴史地名大系 「東韃地方紀行」の解説

東韃地方紀行
とうだつちほうきこう

三冊

別称 東韃紀行 間宮林蔵述・村上貞助編

成立 文化七年序

原本 国立公文書館内閣文庫

写本 北海道大学附属図書館・道立文書館ほか

解説 文化六年に再度のカラフト奥地調査に赴いた間宮林蔵が、ギリャーク人一行の清国への朝貢の旅に同行して大陸へ渡り、デレンの満州仮府に到達したのち、アムール河口を経由して帰国した紀行。アムール河下流地方の地理民俗、諸民族の清国への朝貢交易と相互交易の状況、満州官吏との会見などを生き生きと描写している。多数の珍しい挿絵を含む。なお文化七年に成った本書初稿書名は「東韃紀行」であったが、翌春幕府に献上されたときに「東韃地方紀行」と改められた。

活字本 平凡社東洋文庫・日本庶民生活史料集成第四巻ほか

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「東韃地方紀行」の解説

東韃地方紀行
とうだつちほうきこう

間宮林蔵述による樺太(サハリン)・黒竜江の地誌。3巻・付録1巻。村上貞助編。1811年(文化8)成立。「東韃」は東韃靼(だったん)すなわち中国東北部の意。08年北蝦夷(樺太)調査のため樺太に渡った林蔵が,調査終了後,翌年にかけ単身で行った第2次調査の記録。ニブヒ(ギリヤーク)の首長コーニに従って海峡を渡り,樺太が島であることを確認した。ついで黒竜江下流の清国のデレンに滞在し,山旦貿易といわれる清国と少数民族の毛皮の交易を目撃。翌年村上貞助の助力を得て「東韃紀行」と「北蝦夷地図」を作り,これを改稿した決定版が「東韃地方紀行」と「北夷分界余話」(「銅柱余録」とも)である。付録で渾沌江(アムール川)の源流シャンタン(ニブヒ)について考証する。「日本庶民生活史料集成」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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