杵屋・稀音家(読み)きねや

精選版 日本国語大辞典 「杵屋・稀音家」の意味・読み・例文・類語

きね‐や【杵屋・稀音家】

[1]
[一] (杵屋) 長唄三味線方の屋号の一つ。元祿年間(一六八八‐一七〇四)初世杵屋勘五郎が上方から江戸にくだって江戸長唄を開いた(「杵屋系譜」)といわれるが確証はない。六左衛門に代表される宗家の植木店(うえきだな)派の他、佐吉家、六三郎家、正次郎家など多くの分派がある。
洒落本・虚誕伝(1775)序「大さつまは、長哥になり、女筆指南は、杵屋(キネヤ)にまかされ」
[二] (稀音家) 長唄三味線方の家名。杵屋の分派。一一世杵屋六左衛門(根岸の勘五郎)が稀音家照海と名のったに始まり、次いで明治四一年(一九〇八)六世杵屋三郎助が稀音家浄観と改名、さらにその子三世杵屋六四郎が大正一五年(一九二六)二世稀音家浄観を継ぎ、門弟一同も稀音家と改姓させて独立したもの。
[2] 〘名〙 (杵屋) 江戸長唄の総称。杵屋物。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「翌(あしたは)杵屋(キネヤ)のさらひがあらア」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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