日本大百科全書(ニッポニカ) 「松会版」の意味・わかりやすい解説
松会版
しょうかいばん
松会本ともいう。江戸時代、江戸の「松会」氏が刊行した書物の総称。松会の読み方は明らかでないが、一般に「しょうかい」とよばれている。1653年(承応2)松会市郎兵衛門板の『まんねんこよみ大さつしよ』を最古とする。本姓は木村または加藤氏で、松会の文字を冠する書肆(しょし)名に、市兵衛、衛、吉右衛門、朔旦(さくたん)、三左衛門、三四郎などがある。他の書店が版木を買い求めて印刷刊行した例もある。
[柴田光彦]
『岡井慎吾「松会版について」(『書誌学』第5巻第3号所収・1935・日本書誌学会)』▽『矢島玄亮「松会版目録」(『書誌学』第6巻第3号所収・1941・日本書誌学会)』▽『杉浦丘園著『雲泉荘山誌別冊第四 家蔵松会板之書目』(1936・雲泉荘)』▽『井上隆明著『日本書誌学大系14 近世書林板元総覧』(1981・青裳堂書店)』