松前嶋郷帳(読み)まつまえじまごうちよう

日本歴史地名大系 「松前嶋郷帳」の解説

松前嶋郷帳(天保郷帳)
まつまえじまごうちよう

一冊 松前藩編纂

成立 天保五年

原本 国立公文書館内閣文庫

解説 松前藩が幕府の命により天保五年に国絵図とともに提出した藩内各地の郷帳。松前藩では米を生産しないため松前島郷帳(元禄郷帳)と同様に各村の石高や反別などは示されず、ただ和人地の村一二八ヵ所、蝦夷人居住地三九九ヵ所、島々の名前三一を記しているだけであるが、前者と比べると「松前東在」の蝦夷地境が「汐首村」から「ヤムクシナイ」に変わっているほか、蝦夷人居所は請負場所ごとに列挙されている。また島嶼については「東地島々之分」と「西地島々之分」にまとめられ、クナシリ島とエトロフ島は前者に、カラフト島は後者に収めてそれぞれ「蝦夷人居所」の地名を記している。

活字本 「内閣文庫所蔵史籍叢刊」五六


松前嶋郷帳(元禄郷帳)
まつまえじまごうちよう

一冊 松前藩編纂

成立 元禄一三年

写本 北海道大学附属図書館

解説 松前藩が元禄一三年に国絵図とともに幕府に提出した松前藩域内の地名を列挙した郷帳。松前藩は幕府から藩域を指定されていなかったので、国絵図には当時同藩藩領と考えていた地域すなわち松前地および蝦夷地のほか、「からと島」(カラフト島)、「くるみせ島」(千島諸島)が含まれている。また同藩では米を生産しなかったので、郷帳には他藩のように村ごとの石高は記されず、「田地高無御座候」として和人地の村名八一ヵ所、アイヌ居住地の地名一四〇ヵ所のほか四八の島々の名前が記されているばかりである。

活字本 続々群書類従九

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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