郷帳(読み)ごうちょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

郷帳
ごうちょう

成箇郷帳,御取箇郷帳ともいい,江戸時代における地方三帳 (じかたさんちょう) の一つ。年貢徴収上の最も重要な帳簿で各村の村高反別,租税額,定納にかかわる運上,冥加などを1村ごと,あるいは郡単位に記載したものである。ただし租額は正租のみで,付加税である口米・口永,出目米や年々異動のある運上などは記入されない。慶安2 (1649) 年,幕府が諸代官に命じ勘定所に提出させたのが始りで,諸藩もこれにならった。代官は年々の異動を訂正して勘定所へ進達し,裁決後年貢割付状を各村に交付した。郷帳の重要性は,その記載をまちがうと,代官の進退問題にまで及んだことからも知られる。なお,幕府が国絵図を作成したときこれに付した村高,村名のみを列挙し郡別に集計したものも郷帳といった。

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デジタル大辞泉の解説

ごう‐ちょう〔ガウチヤウ〕【郷帳】

江戸時代の、幕府または諸藩の徴租台帳。地方(じかた)三帳の一。本途物成(ほんとものなり)小物成(こものなり)高掛物(たかがかりもの)、その他定納の運上冥加(みょうが)などにつき、一村ごとの貢納額を記した帳簿。成箇(なりか)郷帳。取箇(とりか)郷帳。

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百科事典マイペディアの解説

郷帳【ごうちょう】

江戸幕府の命令で,諸大名らにより国絵図とともに作成・提出された,1国単位に各村の村高を書き上げた帳簿。国郷帳とも称される。1604年(慶長9年),徳川家康豊臣秀吉による国絵図・御前帳(ごぜんちょう)(検地帳)の作成命令と徴収をほぼ踏襲し,国絵図・御前帳(郷帳)の作成・提出を命じた。その後1644年(正保1年)・1697年(元禄10年)・1831年(天保2年)に作成の命が出され,これにより提出された郷帳はおのおの慶長郷帳正保郷帳元禄郷帳天保郷帳と通称される。作成はその国に領知をもつ大名が担当し,複数の大名がいる場合は担当大名が幕府から指定されたとみられる。ただし天保郷帳は各領主から出された郷村高辻帳をもとに幕府勘定奉行所で集計・作成された。したがって諸大名らの手元に天保郷帳の控は存在しない。正保郷帳は1村ごとの村高・村名,田畑別の高,領主名,芝山・生(は)え山等を記す。なお朱印改の際に領主ごとに作成された領内の村高・村名を記す郷村高辻帳・郷村高帳,地方三帳の一つ成箇(なりか)郷帳(御取箇郷帳)も郷帳と称される。
→関連項目元禄時代村明細帳

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世界大百科事典 第2版の解説

ごうちょう【郷帳】

江戸幕府が国絵図とともに作成・提出させた帳簿。郡ごとに村名とその石高を書き上げ,一国単位でまとめたものである。徳川家康は豊臣秀吉の天正御前帳,国絵図徴収にならって,1604年(慶長9)慶長国絵図御前帳を徴収した。秀吉の御前帳が膨大な量の検地帳であったのに対し,家康のそれは郷帳である。以後,江戸幕府の御前帳はすべて郷帳であり,正保図や元禄図などの国絵図に付属する帳簿としていっしょに徴収されている。ただし天保図のときだけは例外で,まず郷帳が作成・提出され,そのあとで国絵図がつくられた。

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大辞林 第三版の解説

ごうちょう【郷帳】

江戸時代の地方じかた三帳の一。村ごとの石高・反たん別とこれにかかる本途物成・小物成・高掛物たかがかりもの、定納の運上・冥加などを記した帳簿。取箇とりか郷帳。成箇なりか郷帳。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

郷帳
ごうちょう

成箇(なりか)郷帳、取箇(とりか)郷帳ともいう。江戸幕府の地方(じかた)三帳の一つ。一村ごとに村高、反別、租税額、定納の運上・冥加(みょうが)などを記し、毎年異動を訂正した。[編集部]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ごう‐ちょう ガウチャウ【郷帳】

〘名〙
① 地方三帳(じかたさんちょう)の一つで江戸幕府の徴租台帳。領内の一村ごとの高、本途物成、小物成、高掛物、定納の運上、冥加などを明細に記し、年々の異動を訂正して代官所から勘定奉行所へ進達する帳簿。成箇(なりか)郷帳。取箇郷帳。
地方凡例録(1794)七「郷帳発之事」
② 江戸幕府が正保(一六四四‐四八)、元祿(一六八八‐一七〇四)、天保(一八三〇‐四四)ごとに、国絵図とともに作成させた一国単位の郷村高帳。
③ 諸藩が幕府の郷帳にならって作成した徴租台帳。

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世界大百科事典内の郷帳の言及

【御前帳】より

…貴人の手元に掌握された重要帳簿。貴人の性格,帳簿の種類は多様で,例えば江戸時代には,幕領関係の勤方(つとめかた)帳村鑑(むらかがみ)大概帳や幕政関係の郷帳などが,将軍に上納されその座右に備用されるという意味ですべて御前帳と呼ばれた。また戦国大名後北条氏の場合は当主決裁の所領役帳を指し,さらに御前帳の用例は中世史料にまでさかのぼる。…

【成箇郷帳】より

…取箇郷帳,単に郷帳ともいう。江戸幕府代官所,大名預所において成箇(取箇,年貢)および定納物の額を村ごとに記載し,毎年12月までに勘定所に提出した帳簿。…

※「郷帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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