枝の主日(読み)えだのしゅじつ(その他表記)Palm Sunday

翻訳|Palm Sunday

改訂新版 世界大百科事典 「枝の主日」の意味・わかりやすい解説

枝の主日 (えだのしゅじつ)
Palm Sunday

イエス・キリスト復活の1週間前の日曜日のこと。〈棕櫚(しゆろ)の主日〉〈聖枝祭〉〈受難の主日〉ともいう。キリストのエルサレム入城(マタイ21:1~11,マルコ11:1~10,ルカ19:29~40,ヨハネ12:12~19)を祝して,4世紀以降,この日(聖週間の初日)に行列が行われるようになり,参加者たちはシュロオリーブなどの緑の枝を手に持った。エルサレム入城の美術表現は初期キリスト教時代(ユニウス・バッススの石棺など)に始まり,その詳細で説話的表現は14世紀イタリアのドゥッチョ(《マエスタ》の背面パネル)などの作例に見いだされる。キリストはロバに乗り,使徒たちを従えて進んでゆく一方,エルサレムの城門からはおとなや子どもたちが衣やシュロやオリーブの枝を道に敷いて迎えに出る。樹に登って見物する人物(取税人の長ザカエウス,ザアカイともいう)の挿話は外典(《ニコデモ福音書》)に語られている。中世末期に,とくにドイツなどで,車輪つきのロバにまたがるキリストの素朴な木彫像が〈枝の主日〉の行列のために数多くつくられた。
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百科事典マイペディア 「枝の主日」の意味・わかりやすい解説

枝の主日【えだのしゅじつ】

〈棕櫚の主日〉〈聖枝祭〉〈受難の主日〉とも。復活祭直前の日曜日をいい,英語でPalm Sunday。キリストが受難に先立ちエルサレムに入城した際,民衆が枝をかざしてその凱旋(がいせん)を祝ったことを記念し,この日から聖週間が始まる。
→関連項目受難聖週間

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