枢密使(読み)すうみつし(その他表記)Shū mì shì

改訂新版 世界大百科事典 「枢密使」の意味・わかりやすい解説

枢密使 (すうみつし)
Shū mì shì

中国の官制。唐代に宮中で内枢密使が任命され,表面にあらわれない形で軍事関係の謀議に参画して権力を振るった。五代になると表にあらわれて公式の機関として枢密院が設置され軍事に関するいっさいを扱い,行政全般を掌握する中書と併立し,あわせて二府と称された。枢密院の官僚は,五代以降普通の官僚が任命され,宋代では文官が任命され,その長官が枢密使,次官が枢密副使であったが,長官が知枢密院事と称されるときには次官は同知枢密院事,さらにその下が簽書(せんしよ)枢密院事と称された。枢密院は,宋代になって二府の一つを占め,たいへん重要な役所であり,中央政府は宰相を中心に,参知政事と枢密使(または知枢密院事)らによって構成された。枢密使は宰相より一格下で,参知政事とともに執政と称せられた。平時には武官の人事をつかさどり,戦時には参謀本部のように機能したが,ときに戦闘行動の細事に介入したので,前線の作戦行動はしばしば掣肘せいちゆう)された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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