柏前牧(読み)かしわざきのまき

日本歴史地名大系 「柏前牧」の解説

柏前牧
かしわざきのまき

「延喜式」左右馬寮に載る甲斐国の三御牧の一つ。真衣野まきの牧とともに毎年三〇疋を貢馬し、八月七日が駒牽日であった。所在地については、江戸時代から東山梨郡勝沼かつぬま柏尾かしお(甲斐名勝志)、高根町念場ねんば原説(甲斐国志)の二説があり、最近長野県諏訪郡富士見ふじみ柏平かしわだいらとする説も出されているが、念場原説が通説である。念場原は八ヶ岳南麓に位置し、その所在する清里きよさとの旧名樫山かしやまは柏前の遺名とされ、「甲斐国志」が関連地名としてあげる「野馬平・南牧ヨセ・北牧ヨセ・懸札・小念」に類した「北牧・南の平・掛札・西小倉・東小倉」などの地名が高根町に北接する長野県南佐久郡南牧みなみまき村に残る。

柏前・真衣野両牧による駒牽は天慶元年(九三八)八月七日が初見だが(本朝世紀)、同記事には前々年にも貢馬したことが記されており、「樗嚢抄」に載る承平元年(九三一)八月七日の駒牽も日付から両牧によるものと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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