日本大百科全書(ニッポニカ) 「柯劭忞」の意味・わかりやすい解説
柯劭忞
かしょうびん
(1850―1933)
中国、近代の学者。『新元史』の撰者(せんじゃ)として有名。字(あざな)は鳳孫(ほうそん)。山東(さんとう/シャントン)省膠(こう)県の人。清(しん)の進士。清では国子監司業、学部右参議、京師大学堂総監督などを歴任、すでに学者として名が知られていた。1912年中華民国成立後、官途にはつかず、侍講となって溥儀(ふぎ/プーイー)(もとの宣統帝)の教育にあたった。そのかたわら『元史』の欠点を補うため、諸家の業績を取り入れ、新たに『新元史』をつくった。1919年、時の大総統徐世昌(じょせいしょう/シュイシーチャン)がこれを正史中に入れることを命じ、以後『新元史』は正史である「二十五史」の一つに数えられることになった。晩年、東方文化事業総委員会委員長や清史館総裁などを務めた。
[倉橋正直 2016年3月18日]