日本大百科全書(ニッポニカ) 「校務分掌」の意味・わかりやすい解説
校務分掌
こうむぶんしょう
学校の教職員が学校教育の目標を実現するため、校務を分担して遂行していくこと。校務には大きく分けて、(1)教育課程の管理、(2)教職員の管理、(3)児童・生徒の管理、(4)施設・設備の管理、(5)運営事務の管理、のそれぞれに関する業務がある。学校教育法第37条には「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」と規定されている。このように、校長が校務の一切に対する権限を負っているが、校長はさらに各校務を教職員に分掌させることができる。
2010年代以降に社会的な関心を集めるようになった教員の過重な長時間勤務や、児童・生徒の抱える課題状況の複雑化・困難化は、従来の校務分掌のあり方を見直す契機となった。2017年(平成29)の学校教育法施行規則改正で「スクールカウンセラーは、小学校における児童の心理に関する支援に従事する」(第65条の3)、「スクールソーシャルワーカーは、小学校における児童の福祉に関する支援に従事する」(第65条の4)という規定が盛り込まれた。今後の校務分掌には、教員以外の多様なスタッフや専門機関の包摂・参画を従来以上に意識したマネジメントが要請されている。
[木下豪・浜田博文 2023年4月20日]
『永岡順・小林一也編『校務分掌』新学校教育全集第23巻(1995・ぎょうせい)』