校長(読み)コウチョウ

デジタル大辞泉 「校長」の意味・読み・例文・類語

こう‐ちょう〔カウチヤウ〕【校長】

小・中・高等学校などで、校務を統括し、所属職員を監督する最高責任者。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「校長」の意味・読み・例文・類語

こう‐ちょうカウチャウ【校長】

  1. 〘 名詞 〙 小・中・高等学校などで、校務を総括し、所属の教職員を監督する最高責任者。学校長
    1. [初出の実例]「学校の評判はわるくなる。校長(カウチャウ)にゃア呼つけられる」(出典当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「校長」の意味・わかりやすい解説

校長 (こうちょう)

小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校・盲学校・ろう学校・養護学校幼稚園学校教育法1条)の長。ただし大学の長は学長,幼稚園の長は園長と呼ばれる。校長は当該校を代表し,その運営に責任をもつ。日本において,公立学校の長が最初に規定されたのは,1881年の太政官通達で府県立町村立学校職員の名称・准官等が定められたときである。しかし,当時は学校が小規模であったので,職務内容・資格等については何も規定されていなかった。校長職の内容が法制上明確となったのは,1890年の小学校令のもとにおいてである。同小学校令では,校長と教員を法制上区別し,91年の小学校長及教員職務及服務規則で,〈学校長ハ校務ヲ整理シ所属教員ヲ監督スヘシ〉と規定した。ただし,小学校では校長は3学級以上の学校に置くものとされていた。校長がすべての小学校に置かれるようになるのは,1900年の改正小学校令以降である。第2次大戦前の校長は,教育行政機関の末端に位置づけられていたが,戦後の憲法・教育基本法制のもとでは,教育の自律性,学校の自主性が重んぜられるようになり,校長には,学校運営を民主的に行う能力とともに,教育的識見の豊かさ,教育上の指導力が求められるようになった。49年の教育職員免許法では,校長のこうした専門性を重視して校長免許状制がとられたが,54年の同法改正によってこの制度は廃止された。現在,校長の職務は〈校務をつかさどり,所属職員を監督する〉(学校教育法28条)と規定されている。校務とは,教育活動を含む学校運営上のしごとと解され,行政解釈は校長を一般教員の職務上の上司と位置づけている。しかし,教師の専門職性と教育活動上の自主性を尊重する現行法制の趣旨からして,校長は,教育内的事項については一般教員に対して指導・助言権を有するのみで,指揮監督権を有さないとの説が有力である。
教師
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「校長」の意味・わかりやすい解説

校長
こうちょう

学校教育法に基づき、小・中学校等に置かれる職位で、単位学校における最終的な責任者。職務は、校務をつかさどり、所属職員を監督することである(学校教育法第37条4項、中学校等にも準用)。校務には、児童・生徒の健康・安全や教育課程にかかわるものに加え、教職員の人的管理や設備管理、予算管理などが含まれる。これらは、各法令で校長職務に規定されているものと、教育委員会や教育長が校長に委任または命令したものとがある。

 1990年代以降、規制緩和地方分権による学校経営改革が進み、あらゆる教育政策文書で、「校長のリーダーシップの下」、教育活動を活性化させる必要性が言及されている。これは、学校(校長)に一定の裁量権限を与え、各校の状況に対応した自律的な教育活動を展開させる可能性を有する。一方で、校長に過度な責任を要求し、最終責任者として孤立を感じさせる危惧もある。他方で、教育関係の学界では校長の専門的力量が問い直され、校長養成や職務を支える周囲のサポートの必要性が模索されている。たとえば日本教育経営学会は2009年(平成21)に「校長の専門職基準」(2012年一部改正)を策定した。

 校長の資格要件は、元来、教諭の専修免許状または一種免許状を有し、かつ5年以上教育に関する職にあったものとの規定であった。しかし、2000年の文部科学省令改正により、教員免許状を有さず、教育に関する職についた経験がない、いわゆる「民間人校長」も登用可能となった(学校教育法施行規則第22条)。

[髙野貴大・浜田博文 2023年3月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「校長」の意味・わかりやすい解説

校長
こうちょう
principal

大学幼稚園を除く学校の管理・運営上の責任者。職務権限については「校務をつかさどり,所属職員を監督する」(学校教育法37)と定められている。教育職員免許法の創定当初は校長免許状の所持が要件とされていたが,1954年の改正により必要がなくなった。資格要件は文部科学省省令である学校教育法施行規則で定められ,教諭の専修免許状または一種免許状を有し 5年以上教育に関する職に従事すること,もしくは 10年以上教育に関する職に従事することが要求される(20条)。また 2000年に同法施行規則が改正され,運営上特に必要がある場合に,前述の資格と「同等の資質を有すると認める者」も校長となることができるとされ(同施行規則22),教育業務に携わったことのない者も登用されるようになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「校長」の意味・わかりやすい解説

校長【こうちょう】

学校教育法によって学校に必置とされる,学校を代表する責任者。教諭の一級普通免許状と5年間以上の教育に関する職の経験がその資格として必要とされるが,私立学校ではより緩やかな特例が定められている。校長の職務は同法28条で〈校務を掌り,所属職員を監督する〉と規定されている。ここでいう〈校務〉とは行政解釈によれば,教育活動を含む人的・物的管理,運営管理等の学校運営上必要な一切の仕事を意味する。
→関連項目教頭

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の校長の言及

【朝礼】より

…教授・学習の集団として学級が編制され,かつ就学率の増大にともなって小学校児童数が増加し,1学校多級制が一般化する日清戦争後,1890年代末から20世紀初頭にかけて,統合された学校運営をめざす行事として普及・定着をみるようになった。所属の教職員と子どもたちを〈統督〉する学校長の,集団としての学校の統合性を確保するための最も重要な訓練・管理業務の一つとなったのである。子どもと教職員の全員挨拶,学校長の訓話,上席教員からの必要事項の伝達などを内容としていたが,国家主義の強調される1930年代以降は,国民礼法にのっとった儀礼,国旗掲揚,合同体操,シュプレヒコール,分列行進などを含む荘重な行事となり,児童代表の号令下で一糸乱れず進行するファッショ的な集団行動が展開された。…

※「校長」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android