日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜井鴎村」の意味・わかりやすい解説
桜井鴎村
さくらいおうそん
(1872―1929)
翻訳家、児童読み物作家、教育家。本名彦一郎。愛媛県松山市に生まれる。明治学院を卒業し、津田英学塾などの教師を務めるかたわら、『女学雑誌』や『英文新誌』などの編集に携わる。明治30年代、英米の少年冒険小説を多数翻訳し、押川春浪(おしかわしゅんろう)と並んで有名であった。『漂流少年』『航海少年』などを含む叢書(そうしょ)『世界冒険譚(たん)』12冊(1900~1902)が著名。評論・研究的な著書に『現代をんな気質(かたぎ)』『英詩評釈』などがある。なお、日露戦争時の戦争文学『肉弾』で知られる桜井忠温(ただよし)(1879―1965)は実弟である。
[上笙一郎]
『『日本児童文学大系2 桜井鴎村他集』(1977・ほるぷ出版)』